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営業利益・経常利益・純利益の違い:3つがばらばらに動いた実例
決算短信の1ページ目には、営業利益・経常利益・純利益という3つの「利益」が並んでいます。たいていは同じ向きに動きますが、ばらばらに動くこともあり、そのときに会社の中で何が起きたかが見えてきます。直近の決算短信 579社の数字で確かめます。
13つの利益は「引き算の段階」の違い(段階利益とは)
| 利益 | 計算 | 表すもの |
|---|---|---|
| 営業利益 | 売上高 − 売上原価 − 販売費及び一般管理費 | 本業のもうけ |
| 経常利益 | 営業利益 + 受取利息・配当金など − 支払利息・為替差損など | ふだんの活動全体のもうけ(日本基準だけ) |
| 純利益 | 経常利益 + 特別利益 − 特別損失 − 税金など | 最後に残ったもうけ(配当のもと) |
このように、売上から費用を段階ごとに引いて出す利益を「段階利益」と呼びます(売上総利益・営業利益・経常利益・税引前利益・純利益)。下に行くほど、本業と関係のないお金の出入りが混ざります。会社の「稼ぐ力」が良くなったかを見るなら営業利益、株主にとって最終的にいくら残ったかを見るなら純利益です。
なお、IFRS(国際会計基準)の会社には経常利益がありません。この期間の決算短信(売上5億円以上)776社のうち、IFRS の会社は 61社でした。IFRS では、税引前利益と、親会社の所有者に帰属する当期利益を見ます。
2実際には、どのくらい同じ向きに動くか
前年同期・今回とも、営業利益と純利益がどちらも黒字だった 579社で比べると、2つの利益が同じ向き(どちらも増えた・どちらも減った)だった会社は 501社(87%)でした。逆に動いた会社も 78社あります。
- 営業利益が10%以上増えたのに、純利益が10%以上減った会社:18社
- 営業利益が10%以上減ったのに、純利益が10%以上増えた会社:11社
- 営業利益は黒字なのに、純利益が赤字だった会社:29社(減損損失などの大きな特別損失が多い)
- 営業利益は赤字なのに、純利益が黒字だった会社:8社(土地や株の売却益などが多い)
3営業利益は増えたのに、純利益が減った会社
本業は良くなったのに、最後の利益が減ったケースです。よくある理由は、店舗や工場の価値を引き下げる減損損失、事業の整理の費用、前の年にあった大きな特別利益(土地の売却など)がなくなった、税金の負担が増えた(法人税等調整額)などです。本業の改善は続いている可能性があるので、純利益だけを見て「悪い決算」と決めないようにします。
- シーラHD(8887):営業利益 +19.1%・経常利益 -3.5%・純利益 -95.5% 2027年5月期 第1四半期累計・2026-10-15発表
- アクサスHD(3536):営業利益 +36.6%・経常利益 +66.7%・純利益 -80.5% 2026年8月期 通期・2026-10-14発表
- アドヴァングループ(7463):営業利益 +81.4%・経常利益 -77.2%・純利益 -55.6% 2027年3月期 第2四半期累計(中間期)・2026-10-09発表・検出
- ジェネパ(3195):営業利益 +58.9%・経常利益 +20.0%・純利益 -51.3% 2026年10月期 第3四半期累計・2026-09-14発表
- 市進HD(4645):営業利益 +66.7%・経常利益 +83.0%・純利益 -45.1% 2027年2月期 第2四半期累計(中間期)・2026-10-09発表・検出
理由は会社によって違います。それぞれの決算短信の説明文で確かめてください。特別利益・特別損失のよく出る項目と実例は特別利益・特別損失とはにまとめています。
4営業利益は減ったのに、純利益が増えた会社
本業のもうけは減ったのに、最後の利益が増えたケースです。持っている株や土地を売った利益(特別利益)、前の年にあった大きな特別損失がなくなった、為替の利益(経常利益の段階)などが理由になります。一度きりの利益なら、次の期には続かないことが多いので注意します。
- トーセ(4728):営業利益 -58.8%・経常利益 -51.0%・純利益 +186.8% 2026年8月期 通期・2026-10-08発表
- 空港施設(8864):営業利益 -32.4%・経常利益 -38.0%・純利益 +45.9% 2027年3月期 第2四半期累計(中間期)・2026-10-29発表
- ポエック(9264):営業利益 -19.5%・経常利益 -14.6%・純利益 +33.3% 2026年8月期 通期・2026-10-14発表
- G-ウォンテッドリー(3991):営業利益 -55.3%・経常利益 -55.3%・純利益 +33.2% 2026年8月期 通期・2026-10-14発表
- トヨタ紡織(3116):営業利益 -20.3%・経常利益 -19.9%・純利益 +29.0% 2027年3月期 第2四半期累計(中間期)・2026-10-29発表
5営業利益と経常利益の伸びが大きく違った会社
経常利益は、営業利益に本業以外のお金の出入り(営業外の損益)を足し引きしたものです。2つの伸びが大きく違うときは、為替差益・差損、持分法による投資損益(一部を持っている会社の利益の取り込み)、借入金の利息、補助金などが効いています。日本基準の会社で、伸び率の差が大きかった会社です。営業外の損益のよく出る項目と実例は営業外収益・営業外費用とはにまとめています。
- 明海グループ(9115):営業利益 -49.5%・経常利益 +854.6%・純利益 -52.1% 2027年3月期 第2四半期累計(中間期)
- アドヴァングループ(7463):営業利益 +81.4%・経常利益 -77.2%・純利益 -55.6% 2027年3月期 第2四半期累計(中間期)・検出
- アズ企画設計(3490):営業利益 +147.7%・経常利益 +290.4%・純利益 +344.9% 2027年2月期 第2四半期累計(中間期)・検出
- ユーピーアール(7065):営業利益 +195.3%・経常利益 +58.9%・純利益 +124.1% 2026年8月期 通期
- テセック(6337):営業利益 +288.0%・経常利益 +183.2%・純利益 +209.8% 2027年3月期 第2四半期累計(中間期)・検出
6どの利益を見ればいいか
- 会社の調子の変化を見たい:営業利益。本業以外の一時的な出入りが入らないので、前の年と比べやすい。
- 借金の多い会社・海外で稼ぐ会社:経常利益もあわせて見る。利息や為替の影響が大きいため。
- 配当や1株あたり利益(EPS):純利益。ただし一時的な損益で大きく動くので、営業利益と見比べる。
kabuscope の検出ルールは、本業の変化を見るために営業利益と売上高を使っています(利益率の改善・利益が売上より大きく伸びた・赤字から黒字・予想に対する進み具合・業績予想の修正)。純利益が特別損益で大きく動いても、それだけでは検出しません。くわしくはしくみを見てください。
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数字は 2026-09-14〜2026-10-29 に適時開示(TDnet)で発表された決算短信のサマリー(XBRL)から kabuscope が読み取ったもので、毎晩の更新で新しくなります。読み取りの誤りがありえます。特定の銘柄の売買をすすめるものではありません。
検出理由・株価の反応ごとに見る
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- 会社予想に対して進みが速い37社
- 赤字から黒字に転換20社
- 来期も大きな増益を予想8社
- 予想を上方修正5社