決算短信の読み方:1ページ目で見る5つの数字
決算短信は、上場会社が3か月ごとに出す「成績表」です。数十ページあることもありますが、まず見るのは1ページ目(サマリー)だけで足ります。ここでは、1ページ目の5つの数字の読み方を、実際の決算短信(菊水HD・2027年3月期 第2四半期累計(中間期))を例に説明します。
1決算短信とは
決算短信は、証券取引所の決まりにもとづいて、上場会社が決算の内容をいち早く知らせるための資料です。適時開示(TDnet)で誰でも無料で読めます。1年に4回、3か月ごとの決算(四半期決算)と、1年の締めくくりの決算(本決算・通期)で出されます。
1ページ目には、決まった形の表で「今回の成績」「前の年の同じ時期の成績」「今期の会社の予想」が並んでいます。2ページ目以降は、その理由の説明(経営成績に関する説明)と、詳しい財務諸表です。kabuscope も、この1ページ目の数字(XBRL というデータ)を読んで判定しています。
2まず「いつの・どの範囲の」数字かを見る
1ページ目のいちばん上に、「2027年2月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)」のような題名があります。ここから3つのことがわかります。
31ページ目の5つの数字
例として、菊水HD(6912)が 2026年10月29日(木) に発表した2027年3月期 第2四半期累計(中間期)の決算短信の数字を並べます。
| 今回 | 前年同期 | 前年同期比 | |
|---|---|---|---|
| ① 売上高 | 76.5億円 | 66.0億円 | +15.9% |
| ② 営業利益 | 11.7億円 | 8.4億円 | +38.6% |
| ③ 経常利益 | 12.6億円 | 9.6億円 | +31.0% |
| ④ 純利益親会社株主に帰属する中間純利益 | 8.3億円 | 6.2億円 | +33.3% |
| ⑤ 通期の営業利益予想 | 25.2億円(前期の実績 約21.4億円から +18.0%) | ||
決算短信の表は百万円単位で書かれていることが多く、ここでは億円に直しています。
① 売上高:どれだけ売れたか
商品やサービスを売って得たお金の合計です。会社の規模と、事業が広がっているかを表します。例の会社は前年同期比 +15.9% でした。この期間の決算(売上5億円以上の 776社)では、売上の伸びの中央値は +7.4% でした。
② 営業利益:本業でどれだけもうけたか
売上から、仕入れや人件費・広告費などの費用を引いた残りです。本業の実力をいちばんよく表すので、kabuscope はこの数字を中心に見ています。例の会社は +38.6% と、売上(+15.9%)よりずっと大きく伸びました。売上に対する営業利益の割合(営業利益率)は 12.8% → 15.3% でした。
この期間に決算短信を出した会社の営業利益は、次のように分かれました。
- 増益(黒字のまま増えた)
- 394社
- 減益(黒字のまま減った)
- 219社
- 赤字から黒字に
- 45社
- 黒字から赤字に
- 43社
- 赤字が続く
- 53社
③ 経常利益:お金の出入りも含めたもうけ
営業利益に、受け取った利息や配当、為替の損益、借入金の利息など、本業以外のお金の出入りを足し引きしたものです。日本基準の会社だけにあり、IFRS の会社にはありません。営業利益と大きく違うときは、その理由を説明文で確かめます(3つの利益の違い)。
④ 純利益:最後に残ったもうけ
経常利益に、土地の売却益や工場の閉鎖費用のような一時的な損益(特別利益・特別損失)を足し引きし、税金を払ったあとに残る利益です。配当のもとになりますが、一時的な損益で大きく動くので、これだけで会社の調子を判断しないようにします。同じページの「配当の状況」の読み方は「増配・減配・配当予想の修正とは」にまとめています。
⑤ 会社の業績予想:今期どこまで行くつもりか
多くの会社は、今期(1年)の売上や利益の見通しを出しています。四半期の決算では、今の数字がこの予想のどこまで来たか(進捗率)を見ると、予想に対して順調かどうかがわかります。例の会社は、中間期までに通期の営業利益予想の 46% まで達していました。半年で半分(50%)が一つの目安です。
今回の決算で予想を変えた会社は、1ページ目の「直近に公表されている業績予想からの修正の有無」に「有」と書かれます。この期間は 776社のうち 170社でした。修正の一覧は業績予想の修正の一覧にまとめています。
4「前年同期比」で比べる理由
決算短信の数字は、すぐ前の3か月ではなく、前の年の同じ時期と比べます。お店なら12月、エアコンなら夏、のように、多くの会社には季節による売上の波があるからです。前年同期と比べれば、その波をならして「去年より良くなったか」がわかります。
ただし、前の年が何かの理由で特別に悪かったときは、今回の伸び率が大きく見えます。前年同期の金額がとても小さい(数千万円など)ときの「〇倍」には注意します。この期間の決算で、黒字の会社の営業利益の伸びの中央値は +11.6% でした。
51ページ目を読んだら、次に見るところ
- 経営成績に関する説明(2ページ目あたり):数字が増えた・減った理由が書かれています。一時的な理由(為替、大口の注文、前の年の特別な損失がなくなった など)か、続きそうな理由(値上げが通った、新しい店や商品が伸びた など)かを読み分けます。
- セグメント情報:事業ごとの売上と利益。伸びているのが会社全体か、一部の事業だけかがわかります。
- 株価の反応:決算の数字が良くても、発表前から期待されていれば株価はあまり動きません。kabuscope の銘柄ページでは、発表直後の株価を TOPIX と比べて「反応の大きさ」を出しています(反応は小さい会社)。
kabuscope は、この1ページ目の数字の変化(利益率の改善、利益が売上より大きく伸びた、赤字から黒字、予想に対して進みが速い、上方修正 など)を毎晩ルールで判定し、当てはまった会社を検出一覧に載せています。判定のルールはしくみにあります。
決算の読み方(ほかの記事)
- 進捗率の目安:第1・第2・第3四半期で何%なら順調か
- 営業利益・経常利益・純利益の違い:3つがばらばらに動いた実例
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- 会社の業績予想(通期予想)の見方:増益予想の割合・修正・予想なしの会社
- 業績予想の修正(上方修正・下方修正)の読み方:修正の幅・時期・配当や特別損益との関係
- 好決算なのに株価が下がるのはなぜ?業績が伸びた会社の決算発表後の値動きで見る
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- 黒字転換・赤字転落・赤字縮小とは:赤字と黒字が入れ替わった会社の数と実例
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- 営業外収益・営業外費用とは:営業利益と経常利益の差を作る項目(利息・為替・持分法)と実例
- 決算の用語集(51語)
数字は 2026-09-14〜2026-10-29 に適時開示(TDnet)で発表された決算短信のサマリー(XBRL)から kabuscope が読み取ったもので、毎晩の更新で新しくなります。読み取りの誤りがありえます。特定の銘柄の売買をすすめるものではありません。
検出理由・株価の反応ごとに見る
- 利益率が改善140社
- 利益が売上より大きく伸びた118社
- 会社予想に対して進みが速い37社
- 赤字から黒字に転換20社
- 来期も大きな増益を予想8社
- 予想を上方修正5社