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営業外収益・営業外費用とは:営業利益と経常利益の差を作る項目(利息・為替・持分法)と実例

営業利益(本業のもうけ)と経常利益の差を作っているのが、営業外収益・営業外費用です。利息・配当・為替・一部を持っている会社の利益の取り込みなど、本業ではないけれど毎期のように出てくるお金の出入りです。直近の決算短信のうち、日本基準で損益計算書を読み取れた 679社の数字で、どんな項目がどのくらい経常利益を動かしているかを確かめます。

1営業外収益・営業外費用とは(段階利益の中の位置)

日本基準の損益計算書は、売上から順に費用を引いて、段階ごとに利益を出します(段階利益)。営業外の損益は、営業利益と経常利益の間に入ります。

段階中身
営業利益売上高 − 売上原価 − 販売費及び一般管理費(本業のもうけ)
+ 営業外収益受取利息・受取配当金・為替差益・持分法による投資利益・助成金・家賃収入など
− 営業外費用支払利息・為替差損・持分法による投資損失・支払手数料・株式交付費など
= 経常利益ふだんの活動全体のもうけ
+ 特別利益 − 特別損失その期だけの臨時の損益(特別利益・特別損失とは)

特別損益との違いは「くり返し起きるかどうか」です。利息や配当は毎期出てきますが、為替差益のように相場しだいで向きが変わるものもあります。なお、IFRS(国際会計基準)には経常利益がなく、利息などは「金融収益・金融費用」として営業利益のあとに入ります。3つの利益の違いは営業利益・経常利益・純利益の違いにまとめています。

2ふつう、経常利益は営業利益の何倍くらいか

営業利益が黒字だった 588社で、経常利益が営業利益の何倍かを見ると、真ん中(中央値)は 1.02倍、半分の会社が 0.97〜1.08倍に入りました。多くの会社では、営業外の損益は営業利益の数%の上下にとどまり、2つの利益はほぼ同じ大きさです。

  • 経常利益が営業利益より大きかった会社:388社(66%)
  • 経常利益が営業利益の1.2倍以上だった会社:56社
  • 経常利益が営業利益の0.8倍以下だった会社:46社
  • 営業外の損益(収益−費用)が、営業利益そのものより大きかった会社:16社
  • 営業利益と経常利益(どちらも1億円以上の黒字)の伸びが、前年同期比で逆の向きになった会社:31社(502社のうち)

この幅から外れている会社は、本業以外の出入りが大きい会社です。経常利益の伸びだけを見ると、本業の変化を見誤ることがあります。

3よく出てくる項目

679社のうち、今回の期にその項目があった会社の数です(「その他」は除く。名前が少し違う同じ種類の項目は別に数えています)。

営業外収益の項目会社数営業外費用の項目会社数
受取利息587 支払利息588
受取配当金398 為替差損164
為替差益177 支払手数料123
持分法による投資利益130 持分法による投資損失49
助成金収入83 雑損失47
雑収入75 投資事業組合運用損34
受取手数料75 固定資産除却損30
補助金収入74 株式交付費23
受取賃貸料72 賃貸費用23
受取保険金53 不動産賃貸費用20
受取利息及び配当金50 社債利息19
受取家賃31 貸倒引当金繰入額17
  • 受取利息・支払利息:預金や貸付金の利息を受け取った分と、借入金や社債の利息を払った分。ほとんどの会社にあります。借入れが多い会社ほど支払利息が重くなり、金利が上がると経常利益が押し下げられます。
  • 受取配当金:持っているほかの会社の株の配当。持ち合いの株を多く持つ会社で大きくなります。
  • 為替差益・為替差損:外貨の預金・売掛金・借入金を、決算の日の為替レートで円に直したときの差。円安・円高で向きが変わるため、毎期ぶれやすい項目です。
  • 持分法による投資利益・損失:2割〜5割くらいの株を持つ会社(関連会社)の利益や損失のうち、持っている割合の分を取り込んだもの。お金はすぐには入ってきませんが、関連会社の調子がそのまま映ります。
  • 助成金収入・補助金収入:国や自治体からの助成金。雇用や設備の支援などで、期によって出たり出なかったりします。
  • 受取賃貸料・受取家賃:本業ではない不動産を貸している収入。同じ額の「賃貸費用」が営業外費用に並ぶことがあります。
  • 支払手数料・株式交付費:借入れの手数料や、新しく株を発行したときの費用。増資をした期に出ます。

4受取利息・支払利息は前年同期より増えた会社が多い

前年同期・今期とも支払利息があった 574社のうち、支払利息が増えた会社は 431社(75%)、減った会社は 134社(23%)でした。増え方の中央値は +29.6%です。

受取利息も、前年同期・今期ともあった 581社のうち 488社(84%) が増え(中央値 +58.6%)、減った会社は 87社(15%)でした。預金や借入金の金利が上がると、お金を多く持つ会社は受取利息が増え、借入れの多い会社は支払利息が増えます。同じ金利の変化でも、会社によって経常利益への効き方が逆になります。

支払利息(社債の利息を含む)が営業利益の1割以上あった会社は 108社(営業利益1億円以上の会社のうち)でした。割合の大きい会社です。

  1. 明海グループ(9115):営業利益 14.9億円に対して支払利息 18.5億円(124%)→ 経常利益 34.1億円 2027年3月期 第2四半期累計(中間期)・2026-10-28発表
  2. ファインシンター(5994):営業利益 2.4億円に対して支払利息 2.1億円(89%)→ 経常利益 0.3億円 2027年3月期 第2四半期累計(中間期)・2026-10-28発表
  3. さいか屋(8254):営業利益 1.2億円に対して支払利息 1.1億円(87%)→ 経常利益 1.1億円 2026年8月期 通期・2026-10-15発表
  4. アクサスHD(3536):営業利益 2.2億円に対して支払利息 1.8億円(82%)→ 経常利益 0.1億円 2026年8月期 通期・2026-10-14発表
  5. 帝国ホテル(9708):営業利益 1.3億円に対して支払利息 0.9億円(71%)→ 経常利益 3.4億円 2027年3月期 第2四半期累計(中間期)・2026-10-29発表

5為替差益・為替差損は前年と向きが入れ替わることが多い

679社のうち、今期に為替差益か為替差損があった会社は 341社でした。前年同期とくらべると、

  • 前年同期は為替差損 → 今期は為替差益:94社
  • 前年同期は為替差益 → 今期は為替差損:59社
  • どちらも為替差益:75社、どちらも為替差損:90社

為替の損益は、決算の日の為替レートしだいで向きが変わります。経常利益の伸びが為替のおかげ(せい)なら、次の期には続かないかもしれません。本業への為替の影響(海外の売上を円に直した分)は営業利益に入るので、こちらとは別に決算短信の説明文で確かめます。

為替差損から為替差益に変わった会社(営業利益にくらべて差が大きい順)

  • ソシオネクスト(6526):前年同期 為替差損 11.3億円 → 今期 為替差益 3.9億円(営業利益 16.7億円・経常利益 22.4億円) 2027年3月期 第2四半期累計(中間期)
  • フェリシモ(3396):前年同期 為替差損 0.3億円 → 今期 為替差益 0.7億円(営業利益 1.2億円・経常利益 2.6億円) 2027年2月期 第2四半期累計(中間期)
  • ポールHD(3657):前年同期 為替差損 2.2億円 → 今期 為替差益 1.9億円(営業利益 8.3億円・経常利益 10.0億円) 2027年1月期 第2四半期累計(中間期)
  • 富士精工(6142):前年同期 為替差損 0.6億円 → 今期 為替差益 0.2億円(営業利益 2.9億円・経常利益 4.3億円) 2027年2月期 第2四半期累計(中間期)
  • チヨダ(8185):前年同期 為替差損 0.2億円 → 今期 為替差益 1.2億円(営業利益 5.6億円・経常利益 8.5億円) 2027年2月期 第2四半期累計(中間期)

為替差益から為替差損に変わった会社

  • HSHD(8699):前年同期 為替差益 1.5億円 → 今期 為替差損 1.4億円(営業利益 2.9億円・経常利益 89.7億円) 2027年3月期 第2四半期累計(中間期)
  • コーセル(6905):前年同期 為替差益 2.0億円 → 今期 為替差損 0.3億円(営業利益 5.5億円・経常利益 5.8億円) 2027年5月期 第1四半期累計・検出
  • メタウォーター(9551):前年同期 為替差益 0.2億円 → 今期 為替差損 1.9億円(営業利益 7.7億円・経常利益 4.4億円) 2027年3月期 第2四半期累計(中間期)
  • ジェネパ(3195):前年同期 為替差益 0.1億円 → 今期 為替差損 0.3億円(営業利益 1.7億円・経常利益 1.4億円) 2026年10月期 第3四半期累計
  • 小森(6349):前年同期 為替差益 1.5億円 → 今期 為替差損 4.8億円(営業利益 27.2億円・経常利益 27.3億円) 2027年3月期 第2四半期累計(中間期)

6経常利益が営業利益を大きく上回った会社

営業利益(1億円以上)にくらべて、経常利益がとくに大きかった会社です。多額の預金や有価証券の運用、持ち合いの株の配当や売却益、為替差益、持分法の利益などが理由になります。運用や相場しだいの部分は、本業の力とは分けて見ます。

  1. HSHD(8699):営業利益 2.9億円・営業外収益 91.6億円・営業外費用 4.8億円 → 経常利益 89.7億円(いちばん大きい項目:持分法による投資利益 86.9億円) 2027年3月期 第2四半期累計(中間期)・2026-10-29発表
  2. イマジニア(4644):営業利益 2.2億円・営業外収益 7.9億円・営業外費用 1.1億円 → 経常利益 9.0億円(いちばん大きい項目:投資有価証券売却益 7.7億円) 2027年3月期 第2四半期累計(中間期)・2026-10-28発表・検出
  3. ブルドックソース(2804):営業利益 2.8億円・営業外収益 8.0億円・営業外費用 0.4億円 → 経常利益 10.4億円(いちばん大きい項目:投資有価証券売却益 5.7億円) 2027年3月期 第2四半期累計(中間期)・2026-10-23発表
  4. ミクロン精密(6159):営業利益 6.1億円・営業外収益 10.2億円・営業外費用 0.0億円 → 経常利益 16.3億円(いちばん大きい項目:為替差益 6.2億円) 2026年8月期 通期・2026-10-13発表
  5. 帝国ホテル(9708):営業利益 1.3億円・営業外収益 3.2億円・営業外費用 1.1億円 → 経常利益 3.4億円(いちばん大きい項目:受取手数料 1.3億円) 2027年3月期 第2四半期累計(中間期)・2026-10-29発表
  6. 明海グループ(9115):営業利益 14.9億円・営業外収益 42.3億円・営業外費用 23.1億円 → 経常利益 34.1億円(いちばん大きい項目:持分法による投資利益 20.0億円) 2027年3月期 第2四半期累計(中間期)・2026-10-28発表

7経常利益が営業利益を大きく下回った会社

営業利益(1億円以上)は出ているのに、経常利益が小さくなった会社です。借入金の利息、関連会社の赤字(持分法による投資損失)、為替差損などが理由になります。本業が良くても、借入れや関連会社の状態が経常利益を押し下げていることがわかります。

  1. CAICA D(2315):営業利益 1.1億円・営業外収益 0.6億円・営業外費用 1.8億円 → 経常利益 -0.1億円(いちばん大きい項目:持分法による投資損失 1.8億円) 2026年10月期 第3四半期累計・2026-09-14発表
  2. アクサスHD(3536):営業利益 2.2億円・営業外収益 0.2億円・営業外費用 2.4億円 → 経常利益 0.1億円(いちばん大きい項目:支払利息 1.8億円) 2026年8月期 通期・2026-10-14発表
  3. ノダ(7879):営業利益 2.1億円・営業外収益 2.4億円・営業外費用 4.3億円 → 経常利益 0.2億円(いちばん大きい項目:持分法による投資損失 2.2億円) 2026年11月期 第3四半期累計・2026-10-14発表
  4. ファインシンター(5994):営業利益 2.4億円・営業外収益 0.7億円・営業外費用 2.9億円 → 経常利益 0.3億円(いちばん大きい項目:支払利息 2.1億円) 2027年3月期 第2四半期累計(中間期)・2026-10-28発表
  5. マネーフォワード(3994):営業利益 16.9億円・営業外収益 1.5億円・営業外費用 15.1億円 → 経常利益 3.3億円(いちばん大きい項目:持分法による投資損失 6.7億円) 2026年11月期 第3四半期累計・2026-10-15発表・検出
  6. 井筒屋(8260):営業利益 2.0億円・営業外収益 1.4億円・営業外費用 3.0億円 → 経常利益 0.4億円(いちばん大きい項目:支払利息 1.4億円) 2027年2月期 第2四半期累計(中間期)・2026-10-14発表

8kabuscope で検出した会社では

kabuscope の検出ルールは、本業の変化を見るために営業利益と売上高だけを使っています。営業外の損益で経常利益が大きく伸びても、それだけでは検出しません。この記事の対象のうち、検出した会社は 128社でした。

検出した会社のうち、営業外の損益(収益−費用)が営業利益の2割以上あった会社です。説明の「反対材料・気をつける点」もあわせて見てください。

  1. イマジニア(4644):営業利益 2.2億円・営業外収益 7.9億円・営業外費用 1.1億円 → 経常利益 9.0億円(いちばん大きい項目:投資有価証券売却益 7.7億円) 2027年3月期 第2四半期累計(中間期)・2026-10-28発表・検出
  2. コーエーテクモ(3635):営業利益 117.4億円・営業外収益 183.4億円・営業外費用 45.6億円 → 経常利益 255.2億円(いちばん大きい項目:受取利息 103.4億円) 2027年3月期 第2四半期累計(中間期)・2026-10-26発表・検出
  3. マネーフォワード(3994):営業利益 16.9億円・営業外収益 1.5億円・営業外費用 15.1億円 → 経常利益 3.3億円(いちばん大きい項目:持分法による投資損失 6.7億円) 2026年11月期 第3四半期累計・2026-10-15発表・検出
  4. ケイブ(3760):営業利益 5.5億円・営業外収益 4.1億円・営業外費用 0.5億円 → 経常利益 9.1億円(いちばん大きい項目:保険解約返戻金 2.8億円) 2027年5月期 第1四半期累計・2026-10-14発表・検出
  5. アドヴァングループ(7463):営業利益 19.5億円・営業外収益 14.3億円・営業外費用 26.0億円 → 経常利益 7.7億円(いちばん大きい項目:為替予約評価損 24.7億円) 2027年3月期 第2四半期累計(中間期)・2026-10-09発表・検出
  6. アイザワ証G(8708):営業利益 7.1億円・営業外収益 4.8億円・営業外費用 1.8億円 → 経常利益 10.1億円(いちばん大きい項目:受取配当金 2.5億円) 2027年3月期 第2四半期累計(中間期)・2026-10-29発表・検出

9決算短信で営業外の損益を確かめる手順

  1. 1ページ目のサマリーで、営業利益と経常利益の大きさと伸びを比べる。差が大きい・向きが違うなら、営業外に何かある
  2. 添付資料の損益計算書で「営業外収益」「営業外費用」の項目を、前年同期の欄と並べて見る
  3. 為替差益・差損、有価証券の売却益・評価損など、相場で動く項目がどれだけあるかを確かめる。くり返し出る利息・配当とは分けて考える
  4. 支払利息が営業利益にくらべて大きい会社は、貸借対照表の借入金の額と、金利が上がったときの影響も見ておく

関連:営業利益・経常利益・純利益の違い・特別利益・特別損失とは・決算短信の読み方・営業利益率の目安

項目と金額は、決算短信の添付資料の損益計算書を kabuscope が読み取ったものです(日本基準で、読み取った営業利益と「営業利益+営業外収益−営業外費用」が決算短信のサマリーの営業利益・経常利益と合った会社だけ。売上5億円以上。日本基準 713社のうち 679社)。表の書き方によっては読み取れない会社や、名前の違う同じ種類の項目があります。

決算の読み方(ほかの記事)

数字は 2026-09-14〜2026-10-29 に適時開示(TDnet)で発表された決算短信のサマリー(XBRL)から kabuscope が読み取ったもので、毎晩の更新で新しくなります。読み取りの誤りがありえます。特定の銘柄の売買をすすめるものではありません。

検出理由・株価の反応ごとに見る

決算発表日ごと・業績予想の修正の一覧・決算の読み方・決算の用語集・検出後の成績・検出のしくみ