検出一覧 › 決算の読み方 › 特別利益・特別損失とは

特別利益・特別損失とは:純利益だけが大きく動いた会社と、よく出てくる項目

決算の数字で「純利益が大きく増えた(減った)」と出ていても、本業が良くなった(悪くなった)とは限りません。間に特別利益・特別損失という、一度きりの損益が入るからです。直近の決算短信のうち、日本基準で損益計算書を読み取れた 658社の数字で、特別損益がどのくらい純利益を動かしているかを確かめます。

1特別利益・特別損失とは

日本基準の損益計算書では、経常利益(ふだんの活動全体のもうけ)のあとに、その期だけの臨時の損益を足し引きして「税引前の利益」を出し、そこから税金を引いて純利益になります。

段階中身
経常利益本業のもうけ(営業利益)+利息・配当・為替などの出入り(営業外収益・営業外費用)
+ 特別利益土地・建物や持っている株を売った利益、補償金、保険金など
− 特別損失店舗や工場の価値の引き下げ(減損損失)、設備の廃棄、災害の損失、事業の整理の費用など
− 税金など法人税・住民税・事業税、法人税等調整額、子会社のほかの株主の取り分
= 純利益最後に残ったもうけ(配当や1株あたり利益のもと)

特別損益は、毎年くり返し起きるものではないため、次の期には続かないのがふつうです。本業の調子を見るときは営業利益や経常利益、最後に株主の取り分がいくら残ったかを見るときは純利益、と分けて見ます。なお、IFRS(国際会計基準)には「特別損益」という区分がなく、同じような損益も営業利益の中に入ります。

2ふつう、純利益は経常利益の何割くらいか

経常利益が黒字だった 572社で、純利益が経常利益の何割かを見ると、真ん中(中央値)は 67%、半分の会社が 60〜72% に入りました。税金でおよそ3割が引かれるため、特別損益が小さい会社は、だいたい経常利益の6〜7割が純利益になります。

この幅から大きく外れているときは、特別損益か税金に何かあったしるしです。純利益が経常利益より大きかった会社は 34社ありました(大きな特別利益のほか、税金の戻りなどでも起きます)。

  • 特別利益が経常利益の3割以上あった会社:45社
  • 特別損失が経常利益の3割以上あった会社:42社
  • 経常利益は黒字なのに、特別損失などで純利益が赤字になった会社:18社
  • 経常利益は赤字なのに、特別利益などで純利益が黒字になった会社:4社

3よく出てくる項目

658社のうち、今回の期に特別利益があった会社は 372社(57%)、特別損失があった会社は 435社(66%)、どちらもなかった会社は 156社(24%)でした。金額は小さいことも多く、「特別損益がある=大きな出来事があった」ではありません。項目の名前ごとに、その項目があった会社の数です(「その他」は除く)。

特別利益の項目会社数特別損失の項目会社数
固定資産売却益225 固定資産除却損224
投資有価証券売却益135 減損損失163
新株予約権戻入益42 固定資産売却損44
補助金収入25 固定資産除売却損42
受取保険金18 投資有価証券評価損40
関係会社株式売却益18 店舗閉鎖損失31
負ののれん発生益14 災害による損失28
受取補償金13 固定資産処分損25
保険解約返戻金9 投資有価証券売却損22
事業譲渡益9 固定資産圧縮損16
  • 固定資産売却益・売却損・除却損:土地・建物・設備を売ったり捨てたりしたときの差額。設備を入れ替える会社では毎期のように小さく出ます。金額が大きいときは、本社や工場の土地を売ったなど、一度きりのことが多いです。
  • 投資有価証券売却益・評価損:持ち合いの株などを売った利益や、値下がりした株の評価の引き下げ。政策保有株を減らしている会社で、売却益がしばらく続くこともあります。
  • 減損損失:店舗・工場・買った会社などが、思ったほど稼げないと分かったときに、帳簿の価値を引き下げる損失。お金が出ていくわけではありませんが、その事業の見通しが悪くなったという会社自身の判断なので、どの事業の減損かは確かめたい点です。
  • 店舗閉鎖損失・災害による損失:店の閉鎖や、地震・台風などの被害にかかった費用。小売・外食などに多く出ます。
  • 新株予約権戻入益:社員などに配ったストックオプションが使われないまま期限切れになり、費用として計上していた分を戻したもの。現金の入りはありません。
  • 補助金収入・受取補償金・受取保険金:国や自治体の補助金、立ち退きや工場移転の補償金、保険金など。補助金の場合、同じ額の「固定資産圧縮損」が特別損失に並ぶことがあります。
  • 負ののれん発生益:会社を、その会社の純資産より安く買ったときに出る利益。買収した期だけに出ます。

4特別利益で純利益が大きく増えた会社

経常利益(1億円以上)にくらべて、特別利益がとくに大きかった会社です。純利益の伸びは目立ちますが、その分は次の期にはなくなる可能性が高いので、前年同期との比較では経常利益や営業利益のほうを見ます。

  1. マネーフォワード(3994):経常利益 3.3億円・特別利益 28.1億円・特別損失 3.2億円 → 純利益 5.0億円(いちばん大きい項目:投資有価証券売却益 24.3億円) 2026年11月期 第3四半期累計・2026-10-15発表・検出
  2. 高純度化(4973):経常利益 1.7億円・特別利益 7.7億円・特別損失 0.0億円 → 純利益 6.9億円(いちばん大きい項目:投資有価証券売却益 7.7億円) 2027年3月期 第2四半期累計(中間期)・2026-10-27発表
  3. トーセ(4728):経常利益 3.3億円・特別利益 9.0億円・特別損失 1.5億円 → 純利益 7.2億円(いちばん大きい項目:固定資産売却益 9.0億円) 2026年8月期 通期・2026-10-08発表
  4. 日創グループ(3440):経常利益 6.0億円・特別利益 11.1億円・特別損失 1.5億円 → 純利益 5.2億円(いちばん大きい項目:関係会社株式売却益 9.8億円) 2026年8月期 通期・2026-10-15発表
  5. ヨシムラ・F・HD(2884):経常利益 8.6億円・特別利益 13.9億円・特別損失 0.0億円 → 純利益 12.1億円(いちばん大きい項目:受取補償金 8.8億円) 2027年2月期 第2四半期累計(中間期)・2026-10-15発表
  6. フジ(8278):経常利益 25.2億円・特別利益 35.5億円・特別損失 11.4億円 → 純利益 31.1億円(いちばん大きい項目:退職給付制度移行益 33.9億円) 2027年2月期 第2四半期累計(中間期)・2026-10-08発表
  7. Y’s(2798):経常利益 1.7億円・特別利益 2.3億円・特別損失 0.0億円 → 純利益 3.8億円(いちばん大きい項目:負ののれん発生益 2.3億円) 2027年2月期 第2四半期累計(中間期)・2026-10-15発表
  8. 積水樹脂(4212):経常利益 20.5億円・特別利益 27.6億円・特別損失 0.7億円 → 純利益 30.0億円(いちばん大きい項目:投資有価証券売却益 27.6億円) 2027年3月期 第2四半期累計(中間期)・2026-10-29発表

5特別損失で純利益が大きく減った会社

経常利益(1億円以上)にくらべて、特別損失がとくに大きかった会社です。本業は黒字でも、減損や事業の整理で純利益が小さくなったり、赤字になったりします。一度きりの損失か、事業の見通しが悪くなったしるしかは、決算短信の説明や別のお知らせで確かめます。

  1. 大和(8247):経常利益 1.5億円・特別利益 0.4億円・特別損失 7.7億円 → 純利益 -5.8億円(いちばん大きい項目:減損損失 6.7億円) 2027年2月期 第2四半期累計(中間期)・2026-10-13発表
  2. ツインバード(6897):経常利益 1.1億円・特別利益 0.6億円・特別損失 1.2億円 → 純利益 0.3億円(いちばん大きい項目:買収提案対応費用 1.1億円) 2027年2月期 第2四半期累計(中間期)・2026-10-14発表
  3. スーパーツール(5990):経常利益 1.4億円・特別利益 0.0億円・特別損失 1.5億円 → 純利益 -0.2億円(いちばん大きい項目:固定資産除却損 1.5億円) 2027年3月期 第2四半期累計(中間期)・2026-10-20発表
  4. G-エルテス(3967):経常利益 1.2億円・特別利益 0.6億円・特別損失 1.2億円 → 純利益 -0.2億円(いちばん大きい項目:子会社株式売却損 1.2億円) 2027年2月期 第2四半期累計(中間期)・2026-10-14発表
  5. G-プロディライト(5580):経常利益 1.2億円・特別利益 0.0億円・特別損失 1.1億円 → 純利益 -0.6億円(いちばん大きい項目:減損損失 1.0億円) 2026年8月期 通期・2026-10-15発表
  6. さくらインターネット(3778):経常利益 30.1億円・特別利益 25.0億円・特別損失 27.1億円 → 純利益 19.0億円(いちばん大きい項目:国庫補助金等収入 25.0億円) 2027年3月期 第2四半期累計(中間期)・2026-10-28発表・検出
  7. 松竹(9601):経常利益 37.3億円・特別利益 0.0億円・特別損失 31.0億円 → 純利益 7.4億円(いちばん大きい項目:減損損失 23.7億円) 2027年2月期 第2四半期累計(中間期)・2026-10-14発表
  8. イオン北海(7512):経常利益 13.0億円・特別利益 0.0億円・特別損失 10.8億円 → 純利益 0.8億円(いちばん大きい項目:減損損失 9.2億円) 2027年2月期 第2四半期累計(中間期)・2026-10-13発表

6kabuscope で検出した会社では

kabuscope の検出ルールは、本業の変化を見るために営業利益と売上高だけを使っています。特別利益で純利益が大きく増えても、それだけでは検出しませんし、特別損失で純利益が減っても検出から外しません。この記事の対象のうち、検出した会社は 126社でした。

検出した会社のうち、特別利益か特別損失が経常利益の2割以上あった会社です。銘柄ページの説明の「反対材料・気をつける点」もあわせて見てください。

  1. マネーフォワード(3994):経常利益 3.3億円・特別利益 28.1億円・特別損失 3.2億円 → 純利益 5.0億円(いちばん大きい項目:投資有価証券売却益 24.3億円) 2026年11月期 第3四半期累計・2026-10-15発表・検出
  2. アドヴァングループ(7463):経常利益 7.7億円・特別利益 8.2億円・特別損失 1.9億円 → 純利益 8.9億円(いちばん大きい項目:投資有価証券売却益 8.1億円) 2027年3月期 第2四半期累計(中間期)・2026-10-09発表・検出
  3. さくらインターネット(3778):経常利益 30.1億円・特別利益 25.0億円・特別損失 27.1億円 → 純利益 19.0億円(いちばん大きい項目:国庫補助金等収入 25.0億円) 2027年3月期 第2四半期累計(中間期)・2026-10-28発表・検出
  4. KOA(6999):経常利益 39.8億円・特別利益 31.0億円・特別損失 0.5億円 → 純利益 58.2億円(いちばん大きい項目:移転補償金 31.0億円) 2027年3月期 第2四半期累計(中間期)・2026-10-23発表・検出
  5. コーセル(6905):経常利益 5.8億円・特別利益 3.5億円・特別損失 0.1億円 → 純利益 6.6億円(いちばん大きい項目:関係会社整理益 3.5億円) 2027年5月期 第1四半期累計・2026-09-18発表・検出
  6. G-オキサイド(6521):経常利益 5.6億円・特別利益 2.9億円・特別損失 0.9億円 → 純利益 5.7億円(いちばん大きい項目:受贈益 1.6億円) 2027年2月期 第2四半期累計(中間期)・2026-10-15発表・検出

7決算短信で特別損益を確かめる手順

  1. 1ページ目のサマリーで、経常利益と純利益の伸びを比べる。向きや大きさが大きく違えば、特別損益か税金に何かある
  2. 添付資料の損益計算書で「特別利益」「特別損失」の項目と金額を見る(前年同期の欄とも比べる)
  3. 大きな項目は、最初の「経営成績に関する説明」や、同じ日の別のお知らせ(「特別利益の計上に関するお知らせ」「減損損失の計上に関するお知らせ」など)で理由を確かめる
  4. 会社の通期予想(純利益)に、その特別損益が入っているかを確かめる。入っていなければ、予想の修正が出ることがある

関連:営業利益・経常利益・純利益の違い・営業外収益・営業外費用とは・決算短信の読み方・業績予想の修正の読み方

項目と金額は、決算短信の添付資料の損益計算書を kabuscope が読み取ったものです(日本基準で、読み取った経常利益が決算短信のサマリーの数字と合った会社だけ。売上5億円以上)。表の書き方によっては読み取れない会社や、名前の違う同じ種類の項目があります。

決算の読み方(ほかの記事)

数字は 2026-09-14〜2026-10-29 に適時開示(TDnet)で発表された決算短信のサマリー(XBRL)から kabuscope が読み取ったもので、毎晩の更新で新しくなります。読み取りの誤りがありえます。特定の銘柄の売買をすすめるものではありません。

検出理由・株価の反応ごとに見る

決算発表日ごと・業績予想の修正の一覧・決算の読み方・決算の用語集・検出後の成績・検出のしくみ