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黒字転換・赤字転落・赤字縮小とは:赤字と黒字が入れ替わった会社の数と実例
決算のニュースの「黒字転換」「赤字転落」は、利益が前の年の同じ時期と比べてプラスとマイナスのどちらに入れ替わったかを表す言葉です。数字の向きがはっきり変わるので目を引きますが、その中身は会社によってさまざまです。2026-09-14〜2026-10-29に発表された決算短信 754社(売上5億円以上・前年同期と比べられる会社)の営業利益で、実際の数と例を見ます。
15つの形と、実際の数
前年同期と今回の営業利益が、それぞれ黒字(プラス)か赤字(ゼロ以下)かで分けると、次の5つになります。
| 形 | 前年同期 → 今回 | 会社の数 | 売上が増えた | 純利益が黒字 |
|---|---|---|---|---|
| 黒字が続いた | 黒字 → 黒字 | 613社(81%) | 516社 | 588社 |
| 黒字転換(赤字→黒字) | 赤字 → 黒字 | 45社(6%) | 37社 | 39社 |
| 赤字転落(黒字→赤字) | 黒字 → 赤字 | 43社(6%) | 18社 | 5社 |
| 赤字縮小(赤字のまま、赤字が減った) | 赤字 → 小さな赤字 | 17社(2%) | 11社 | 1社 |
| 赤字拡大(赤字のまま、赤字が増えた) | 赤字 → 大きな赤字 | 36社(5%) | 13社 | 2社 |
- 前年同期と今回のどちらかが赤字だった会社は 141社で、全体の約19%です。黒字転換(45社)と赤字転落(43社)は、ほぼ同じくらいの数でした。
- 黒字転換の会社は 45社のうち 37社で売上が増えていました。赤字転落の会社で売上が増えていたのは 18社です。赤字と黒字の入れ替わりは、売上の増減と結びついていることが多いと言えます。
- 同じ会社の純利益で数えると、黒字転換 44社・赤字転落 59社・赤字縮小 19社・赤字拡大 39社になり、営業利益の数とは一致しません。ニュースの「黒字転換」がどの利益の話かで、意味が変わります(3つの利益の違い・特別利益・特別損失)。
決算の種類ごと
| 会社の数 | 黒字転換 | 赤字転落 | 赤字縮小 | 赤字拡大 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 第1四半期 | 95社 | 10社(11%) | 11社(12%) | 3社(3%) | 5社(5%) |
| 中間期 | 415社 | 20社(5%) | 19社(5%) | 5社(1%) | 14社(3%) |
| 第3四半期 | 117社 | 9社(8%) | 7社(6%) | 8社(7%) | 5社(4%) |
| 通期 | 127社 | 6社(5%) | 6社(5%) | 1社(1%) | 12社(9%) |
四半期の決算短信の数字は、期のはじめからの累計です。第1四半期は3か月分しかないため、少しの売上の差でも黒字・赤字が入れ替わりやすくなります。
2黒字転換:赤字から黒字に変わった
前年同期は赤字だった会社が、今回は黒字になった形です。この期間は 45社。途中の決算(第1〜第3四半期)だった 37社のうち、全社が、会社の通期予想も黒字でした。
ただ、黒字になったばかりの会社は、もうけが売上のごく一部のことがよくあります。黒字転換した 45社の営業利益率は中央値で 3.6%、3%以上あったのは 45社のうち 24社でした。利益率が1〜2%なら、売上が少し減ったり費用が少し増えたりするだけで、また赤字に戻ります。
営業利益が大きく良くなった会社(今回の営業利益1億円以上)
- さくらインターネット(3778):営業利益 -9.2億円 → 29.6億円・売上 +46.0%・通期の営業利益予想 41.0億円 2027年3月期 第2四半期累計(中間期)・2026-10-28発表・検出
- 三協立山(5932):営業利益 -11.6億円 → 26.4億円・売上 +13.3%・通期の営業利益予想 40.0億円 2027年5月期 第1四半期累計・2026-10-07発表・検出
- マネーフォワード(3994):営業利益 -19.8億円 → 16.9億円・売上 +32.9%・通期の営業利益予想 5.0億円 2026年11月期 第3四半期累計・2026-10-15発表・検出
- G-ドリコム(3793):営業利益 -5.7億円 → 6.6億円・売上 +1.1%・通期の営業利益予想 13.0億円 2027年3月期 第2四半期累計(中間期)・2026-10-29発表・検出
- ケイブ(3760):営業利益 -5.7億円 → 5.5億円・売上 +2.3%・通期の営業利益予想 14.5億円 2027年5月期 第1四半期累計・2026-10-14発表・検出
- G-KOMPEITO(618A):営業利益 -2.2億円 → 8.9億円・売上 +72.0%・来期の営業利益予想 17.1億円 2026年8月期 通期・2026-10-15発表・検出
黒字にはなったが、営業利益率が3%に届かなかった会社
- 三協立山(5932):営業利益 -11.6億円 → 26.4億円・売上 +13.3%・通期の営業利益予想 40.0億円 2027年5月期 第1四半期累計・2026-10-07発表・検出
- HSHD(8699):営業利益 -7.6億円 → 2.9億円・売上 +40.5% 2027年3月期 第2四半期累計(中間期)・2026-10-29発表
- G-トリプルアイズ(5026):営業利益 -5.2億円 → 1.7億円・売上 +1.0% 2026年8月期 通期・2026-10-15発表
- パソナグループ(2168):営業利益 -5.7億円 → 0.9億円・売上 +3.1%・通期の営業利益予想 15.0億円 2027年5月期 第1四半期累計・2026-10-15発表
売上の規模が大きい会社は、利益の金額が大きくても利益率は低いことがあります。金額と率の両方を見ます。
黒字転換で確かめたいこと
- 前の年はなぜ赤字だったか:一度きりの費用(大きな広告・移転・事業の整理など)で赤字だったなら、それがなくなっただけで黒字に戻ります。決算短信の説明(経営成績の概況)で、変化の理由を確かめます。
- 売上が伸びての黒字か:売上が増えずに費用を削っただけの黒字は、長く続かないことがあります。
- 通期でも黒字か:四半期だけの黒字なら、季節のくせのこともあります(下の5)。
3赤字転落:黒字から赤字に変わった
前年同期は黒字だった会社が、今回は赤字になった形です。この期間は 43社で、売上が増えていたのは 18社だけでした。純利益まで黒字だったのは 5社です。
途中の決算だった 32社のうち 24社は、通期では黒字の予想を出していました。いまの時点の累計は赤字でも、残りの期間で取り戻す計画ということです。こういう会社は、次の決算で予想に対する進み具合が追いついていくか、それとも下方修正が出るかを見ます。
営業利益が大きく悪くなった会社(前年同期の営業利益1億円以上)
- ニデック(6594):営業利益 1,282億円 → -5,190億円・売上 +3.9%・来期の営業利益予想 2,000億円 2026年3月期 通期・2026-09-30発表
- 東電力HD(9501):営業利益 2,171億円 → -336.6億円・売上 +3.8% 2027年3月期 第2四半期累計(中間期)・2026-10-29発表
- 中部電力(9502):営業利益 1,455億円 → -780.5億円・売上 +11.3% 2027年3月期 第2四半期累計(中間期)・2026-10-29発表
- 東邦瓦斯(9533):営業利益 238.2億円 → -3.6億円・売上 +0.7%・通期の営業利益予想 190.0億円 2027年3月期 第2四半期累計(中間期)・2026-10-29発表
- 東製鉄(5423):営業利益 60.5億円 → -35.4億円・売上 +12.3%・通期の営業利益予想 10.0億円 2027年3月期 第2四半期累計(中間期)・2026-10-23発表
- NISSHA(7915):営業利益 25.6億円 → -45.0億円・売上 -1.0%・通期の営業利益予想 -33.0億円 2026年12月期 第2四半期累計(中間期)・2026-09-30発表
4赤字縮小・赤字拡大:赤字のままの会社
前年同期も今回も赤字だった会社は 53社。このうち赤字が減った(赤字縮小)のが 17社、増えた(赤字拡大)のが 36社でした。
赤字縮小は、黒字転換の手前の形です。新しい事業を育てている会社や、立て直しの途中の会社でよく見られます。赤字の幅が毎期縮んでいるか、会社がいつ黒字にする計画を出しているかを見ます。赤字拡大の 36社のうち通期の決算は 10社で、そのうち来期は営業黒字を予想していたのは 4社でした。
赤字縮小の例(前年同期の赤字1億円以上)
- アドバンスクリエイト(8798):営業利益 -7.0億円 → -2.7億円・売上 +0.4%・通期の営業利益予想 4.2億円 2026年9月期 第3四半期累計・2026-09-18発表
- イージェイHD(2153):営業利益 -15.2億円 → -11.9億円・売上 +18.3%・通期の営業利益予想 53.0億円 2027年5月期 第1四半期累計・2026-10-14発表
- G-アクセルスペース(402A):営業利益 -10.6億円 → -8.3億円・売上 +208.4%・通期の営業利益予想 -23.0億円 2027年5月期 第1四半期累計・2026-10-15発表
- キングジム(7962):営業利益 -2.1億円 → -0.4億円・売上 +7.8%・通期の営業利益予想 14.4億円 2027年6月期 第1四半期累計・2026-10-29発表
- ハピネス&D(3174):営業利益 -4.0億円 → -2.4億円・売上 -6.6%・来期の営業利益予想 0.5億円 2026年8月期 通期・2026-10-15発表
赤字拡大の例(今回の赤字1億円以上)
- 出前館(2484):営業利益 -49.2億円 → -82.9億円・売上 -1.7% 2026年8月期 通期・2026-10-15発表
- abc(8783):営業利益 -9.2億円 → -30.9億円・売上 +134.7%・来期の営業利益予想 -2.7億円 2026年8月期 通期・2026-10-15発表
- G-シンバイオ製薬(4582):営業利益 -33.4億円 → -48.7億円・売上 -25.6%・通期の営業利益予想 -42.3億円 2026年12月期 第3四半期累計・2026-10-29発表
- バロック(3548):営業利益 -0.8億円 → -9.0億円・売上 -5.4%・通期の営業利益予想 1.1億円 2027年2月期 第2四半期累計(中間期)・2026-10-15発表
- G-リベラウェア(218A):営業利益 -15.9億円 → -24.0億円・売上 +13.4%・来期の営業利益予想 -29.0億円 2026年7月期 通期・2026-09-14発表
5毎年、前半だけ赤字になる会社
途中の決算で累計が赤字だった会社は 70社。そのうち 46社は、通期では黒字を予想していました。さらにその中の 18社は、前の年も同じ時期は赤字で、前の年度の通期は黒字でした。
住宅の引き渡しが年度末に集まる、冬物の衣料が後半に売れる、公共工事の完成が年度末に偏る、などの理由で、毎年同じ時期に赤字になる会社があります。こういう会社の第1四半期の赤字は、ふつうのことです。前年同期と比べて赤字が縮んだか広がったか、通期予想が変わっていないかで見ます。
前の年も同じ時期は赤字で、通期は黒字だった会社
- タマホーム(1419):営業利益 前年同期 -44.4億円 → 今回 -45.6億円。前の年度の通期 38.4億円、今年度の通期予想 75.0億円 2027年5月期 第1四半期累計・2026-10-13発表
- イージェイHD(2153):営業利益 前年同期 -15.2億円 → 今回 -11.9億円。前の年度の通期 46.7億円、今年度の通期予想 53.0億円 2027年5月期 第1四半期累計・2026-10-14発表
- G-ロゴスHD(205A):営業利益 前年同期 -7.1億円 → 今回 -10.2億円。前の年度の通期 14.5億円、今年度の通期予想 21.1億円 2027年5月期 第1四半期累計・2026-10-15発表
- 三陽商(8011):営業利益 前年同期 -2.1億円 → 今回 -5.0億円。前の年度の通期 13.0億円、今年度の通期予想 21.0億円 2027年2月期 第2四半期累計(中間期)・2026-10-06発表
- キングジム(7962):営業利益 前年同期 -2.1億円 → 今回 -0.4億円。前の年度の通期 11.3億円、今年度の通期予想 14.4億円 2027年6月期 第1四半期累計・2026-10-29発表
- ダイケン(5900):営業利益 前年同期 -0.3億円 → 今回 -0.1億円。前の年度の通期 2.6億円、今年度の通期予想 5.3億円 2027年2月期 第2四半期累計(中間期)・2026-10-09発表
前の年度の通期の営業利益は、決算短信の通期予想とその伸び率から計算した値です。
6kabuscope での扱い
kabuscope は、前年同期の営業利益が赤字(ゼロ以下)で、今回は営業利益率3%以上の黒字になった決算に「赤字から黒字に転換」として重み 2 を付けています。利益率の条件を入れているのは、上の2のように、黒字になったばかりで利益が薄い会社を外すためです。重みの合計が 4 以上で検出するので、黒字転換だけでは検出せず、利益率の改善や売上の伸びなど、ほかの理由とそろったときに載ります。
この期間に黒字転換した 45社のうち、検出したのは 21社です。今回の営業利益が赤字の会社(赤字転落・赤字縮小・赤字拡大)は、1社も検出していません。利益率の改善・利益の伸び・予想に対する進み具合の理由は、今回の営業利益が黒字の会社だけが対象です。
「赤字から黒字に転換」が理由に入った検出 20社の、決算発表直後の株価の反応(TOPIX との差)は、大きく上がった 7社・ある程度上がった 3社・ほぼ市場並み 4社・下がった 5社でした。黒字転換は目立つ変化ですが、市場がすでに予想していて株価が動かない・下がることもあります(好決算なのに株価が下がるのはなぜ)。
日ごとの全社の黒字転換・赤字転落の数は決算発表日ごとの一覧で見られます。
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検出理由・株価の反応ごとに見る
- 利益率が改善140社
- 利益が売上より大きく伸びた118社
- 会社予想に対して進みが速い37社
- 赤字から黒字に転換20社
- 来期も大きな増益を予想8社
- 予想を上方修正5社